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家の湯船って一人ではいると広く感じて、あ、これなら2人とかヨユーじゃないのかな、とか思ったりするんだけど、実際はそんなことなくて。
「あ」
「う、おっ」
「わり、ぶつかった」
「へ、平気っだよ!」
風呂場の蒸気にゆらゆらと映る阿部くんは、オレから視線をちょっとだけはずしてる。
阿部くんの目線をちょっと追ったら、シャンプーの赤いボトルが映った。
あ、この前ラブホ行った時に一緒に見たテレビで宣伝してた奴、だ。
そういえば阿部くんと一緒の湯船に入るようになったのって、一番最初にラブホ入ったときからだっけ。
何が阿部くんの琴線に触れて一緒に入るようになったのかは判らないけど、オレはもともとできれば一緒に入りたいと思ってたし、多分オレが余計なこといわなきゃ、このまま一緒に入り続けることになるんだろうからあえて何も突っ込まないようにしよう。うん。
一人で納得して阿部くんに視線を戻したら、阿部くんはもう赤いボトルなんてみてなくて、ちょっと顎を上に傾けて目を瞑っていた。
瞑ってるから、当然オレをその瞳は映してくれない。
ちょっと、むっ、てしてみたり。
「・・・」
せっかく二人っきりなんだから、オレを見てよ、阿部くん。
マウンドにいるときみたいに。
今はマウンドにいるときよりも距離が近いんだから―――なんて、思っては見るものの。
「・・・」
さて、どうやってこの思いを伝えようか。
口先だけだと、伝えたりない。絶対伝えたりない。
ならばどう行動で示そうか。
いきなりアソコを握ってみる?
いやいやいや、案外阿部くんって純情ボーイだから、雰囲気を踏まえてあげないと。
それじゃあまず、口付けから?
うーん、及第点だろうけど、なんか違うなあ。
だってオレは阿部くんとソウイウコトを今この場でしたいわけじゃないし。ただ単にちょっと、オレを視界に写してほしいだけなんだ。だって、隣にいるのに彼の瞳の中にオレがいないなんて、そんなのなんか、寂しいし。あ、結構オレ乙女思考だ今。阿部くんのこと言えた義理じゃあないな、オレ―――あ、そーだ。
ちゃぷ。
「?」
俺の立てた水音に、阿部くんはわずかに身じろいだ。
身じろいだだけで目は開けない。
あ、開けないんだ。ふーん。
「え、オイ、なんだ三橋、なにうひょはあぁっ!!」
阿部くんからあんまり色気のない悲鳴があがった。
あ、ヤバ、もしかしてやりすぎた?
ただちょっとできるかな、と思って足の位置を組み替えて阿部くんの肋骨を触ってみただけなんだけど。
うん、足で。
「っっっ・・・ミィイィハァアァァシィィイイイ」
「う、お」
阿部くんのごっつくって大きな手が、オレの頭をつかんだ。
「肋骨は、やめろって、俺、この前、言った、よ、な?」
「あああぁぁああああっいいいいいいだあああああ!!!」
「ん? 何かな? 三橋くん。"愛だ"って? ああ、そうか、アレは三橋流の愛情表現だったのか。いやあスマンな、気がつかなくて。」
「んにゃあぁああぁああああぁあ!!!」
「安心しろこれも俺流の愛情表現だ。たっぷり味わえ?」
「いにゃああぁぁぁあぁあぁあぁぁぁぁ!!!」
俺流愛情表現 |