距離を、置こうと思った。
だって、近ければ近いほど、オレの気持ちが膨らんで、抑えきれなくなっちゃうから。
それで、きっと、阿部くんを傷つけてしまうから。痛くて苦しいのは、オレだけでいいんだ。
それは、本当なんだ。本当に、阿部くんにこれ以上の苦しみを、与えたくないから。

だから、距離を、置こうって。










部活で、ブルペンで、マウンドで向き合う時以外は、なるべく離れようって。
夜、部活が終わっても、メールはしない。
朝、部活が始まっても、挨拶を交わすだけ。
それが、ここ3日ぐらい、続いてる。
違う、意識的に避けてるのはオレだから、続けているというのが正しいかも。
まるで、夏大前に、戻ったみたいだ、なんてちょっと笑った。






違う、な。






笑顔がギシリと音を立てて、固まる。
夏大の前だって、阿部くんは俺に、触れていた。
手を握って、温度を確かめて。
オレが馬鹿なことをいって、やらかして、阿部くんが怒って、オレにウメボシして。

今は、それすらも、ない。

 

 










真っ黒な、夜より深い闇色の瞳のなかに、淡く燈る温かい光。
阿部くんがオレを見つめるときだけに燈る、小さな光。
阿部くんがオレにくれる、淡い思い。
まるで、星みたいだと、思った。
星みたいにキレイで、けど、やぱり星みたいに、手の届きそうにない、小さな光。

ほしかった。

今でもほしい。

けど、だめだ、見てはいけない。
見たら最後だ。
これ以上はダメ。

ダメなのに。













いや、だ。











いやだ、いやだ、阿部くん。
こっちを向いてよ。
その瞳を、俺に向けてよ。
あの暖かい光で、俺を見てよ。
苦しいよ。
阿部くん、オレ、苦しいんだよ。
阿部くんにオレの分の感情を持ってもらったはずなのに、全然だめだ。
苦しいまんまだ。
このままじゃ、このまんまじゃ、オレ。

 











息が、できない。

 

 








瞬間、世界が、揺らいだ。












「三橋!!!」

 

 


あべくんの、こえが、きこえる。
あべくん、あべくん、あべくん、どうしよう、くるしくて、くるしくて、くるしくて、でも、おれは。






オレは、君が、好きなんだ。
どうしようもないぐらいに、好きなんだよ。


愛の病

三橋くんが阿部くんを「君」よびとか萌える。