「うー…」







自分の唸り声で目が覚めた。結構最悪。
首筋にべっとりと寝汗。さらに最悪。自然とよった眉間のしわに気がついて少しため息。
夏は好きだ。高校野球の本番だからっていうのが主な理由。
そんなわけで、夏は好きだけども、こうじめじめっと暑い部屋の中は嫌いだ。
というか、好きなやつがいたらビビる。

「あー…」

ぼんやりとした頭のまま怠惰に上体を起す。目頭についた目やにをぬぐって、軽く伸び。
一緒にあくびを出したら、右隣で布団がもぞもぞ。

「にゅー…」

寝癖のせいでいつも以上にぴょんぴょんしてる淡い栗色の髪が、タオルケットからほんの少しだけはみ出した。
って、おいおい、こンのクソ暑いなか(タオルケットとはいえ)頭までかぶってんのかよ。
自然と口の端からもれたため息に、罪は無いはずだ。

「おい三橋、暑くねーのそれ」
「うゅーん」

なんだよ『うゅーん』って。どういう発音だよ。猫語から進化してンじゃねーか。
しかも進化しちゃいけない方向に。
なんて考えたらちょっと笑えてきて、少しだけ口の端を上げた。

「三橋、起きろよ」
「うゅ」
「『うゅ』じゃねぇよ、もう10時だぞ」
「うみゅんにゅんうゅ」
「いや何いってんのか判ンねーから」

イントネーションは『まだ眠いから起さないで』的な抗議だとおもうんだけども。
いやいや、そんなん分析してる場合じゃなくてだな。
俺は笑い方を苦笑に変えて、そのまま顔を三橋の耳元にもっていった。







「水族館、いくんじゃねーの?」
「…う」






超至近距離でむずがる三橋は不承不承、それでこそ観念したように瞼を押し上げた。
数秒だけうろうろと視線の定まらない濃い蜂蜜色の瞳。
ボンヤリと何処か惚けている様でもある三橋の寝起き顔に、笑う。


かわいい、なんて思うのはとっても今更、なんだろうな。



「起きたか?」
「ん、おきた」






三橋の濃い蜂蜜色の瞳に、笑った俺の顔が映りこむ。
あーあ。しまりの無い顔してんなぁ、俺。





そうだ、

デートに行こう

久しぶりに書いたとおもったら中篇ですよ的な。
いやでもほら、デート話は書いておかないと!!
続きます。とりあえずデート当日朝。