ガタンゴトン、ガタンゴトン。
揺れる電車、揺れるつり革。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
ボンヤリ見つめる、窓の外。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
過ぎ去る景色、晩夏の濃い色。
ガタンゴトン、ガタンゴトン。
まるで儚幻のような現実味のない、世界。
「あ」
その小さな声にハッとして、視線を窓から離した。
てか、なんだよ"儚幻のような現実味の無い世界"とか。何いっちゃんてんの、俺。
いや、思ってただけで言ってないけど。けして口になんて出してませんけど。
心の奥底で言い訳しつつ三橋に向けた視線はすぐに、その濃い蜂蜜色の視線に絡んだ。
まるで宝物でも見つけたみたいに、三橋の濃い蜂蜜色の瞳はキラキラしてる。
「阿部くん、海!」
「おお、さっき見えたな」
「青、かった!キラキラして、た!」
「ああ、今日も太陽ギラッギラだからなぁ」
「うん、帽子、やっぱりもってきて、正解だった、ね!」
小声なのに、その声ははしゃいでて。
ああ、やっぱり連れてきてよかった、なんて、自然に口元が綻んだ。
「よしじゃあ、次の駅でおりっぞ」
「うん!」
ニカッと笑う三橋。
三橋の心からの笑顔は、ヒマワリみたいだ。
ヒマワリ…向日葵ねぇ。
太陽を追っかけて咲く花、だったっけか。
てことはアレか、三橋を笑わせるためには、こいつの太陽で無きゃだめってことか?
―――…俺が、太陽?
綻んだ口元の端からため息をひとつ。なんだそれ、似合わなさすぎだろ。
ちらり、と視線だけ三橋に向けると、三橋はキラキラした瞳で窓の外に広がる晩夏の真っ青な世界を見つめていた。
ホントに、こいつは、まったく。
永遠の少年って、こいつのことなんじゃないのかな、なんて俺は時々思ったりする。
そうだ、
デートに行こう